茶楽教室 みよさんのレポート後半組編
文山包種茶製茶実習レポート
後半組もグルメなの?!
マニアック&飲食満喫魔人であった親愛なる前半組のお兄さまたちを見送り、後半組がやってきます。何しろ今度はうって変わって、若い娘たち総勢9名での製茶実習ですよ!花やぐ一行のなかでわたしも女子オーラ回復といきたいところですが、それはまあ自然にまかせて。
日本から師匠の生徒さんでもあった紅茶教室主宰のMさんとその生徒さんがホテルに到着、一息つくと、まずはというかやはりというか近所の食堂に繰り出します。メインメニューは鶏飯と鶏団子スープですが、これがまた旨いのです。
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見た目はいたってシンプルなのですが、この鶏飯に掛かっているタレがちょっと後から甘味を感じる奥行きのあるいいお味。まん丸大粒の鶏団子はぶりんぶりんの食感、さっぱりしたスープはセロリ風味。速い・旨い・安い、台湾大衆食堂の美点をきっちり味わわせてもらいました。
その後は、士林の夜市へ。地下鉄の駅を出るとすぐ目の前が大きな夜市地帯です。様々な食べ物の露店と若者向けのファッションの店を通り過ぎ、師匠に案内していただいて横丁に入ると、そこには知る人ぞ知るカキ「アイス」の専門店が。これは空気を含ませてないアイスクリーム(=固く締まった氷塊状)を機械でひらひらとかいたもの。
あまりにトッピングの種類が豊富で悩ましい!味はミルキーかつさっぱりしていて、口解けが気持ちいい!運ばれてきた姿もなんとも豪快かつチャーミング!小姐気分満開の一品です。店員さんは今時の若者風、お客さんも若者が多めですが、尼さんの3人連れ姿もお見かけしました。なんでも師匠が若かりしころ、デート時ご用達のお店のひとつだったんだそうです。ごちそうさまです☆
別腹をひんやりと満たしたところで再び露店探検。お犬さまのお洋服、押すと発熱する温熱ジェルパック、臭いお豆腐、とりどりのフルーツ、シノワな雑貨、ペット横丁、ゲームセンターなどなどが渾然一体となった士林夜市でした。
坪林へ
翌朝。別便で昨夜遅く到着していたMさんの生徒さんたちと、師匠の台湾の友人であるCさん姉妹が合流、マイクロバスでの坪林入りです。それにしても、顔ぶれは一変したというのに、気になるお天気は相変わらずの雨なんです(泣)。なぜだあーと叫びたい気持ちですが、こればっかりは仕方がありません。本来乾季で雨の少ないはずのこの時期が冬茶の最盛期にあたっているわけなのですが、気象の異常は全地球的な現象、ここ台湾もまぬがれることはできないようです。
ちょっぴり勝手知ったところとなった蘇さん宅に到着すると「また来たよう~!」とみなさんにご挨拶。今回は噂の兄茶師の姿もあります。やはり小姐9人というとそれだけで賑やかはなやか、前半組とはまた違ったノリが自然と生まれつつあります。
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またしてもの雨で前回同様に蘇さんの方で茶葉を摘んで用意してくださるかたちになりましたが、師匠が娘たちの茶摘み願望を汲んで、形だけでも畑で茶葉に触らせてやってはもらえないかと頼んでくださいました。乗ってきたマイクロバスの運転手さんを口説いて茶畑まで運んでいただくあたり、ちょっと微笑んでしまう成り行きです。(お昼ごはんは、運転手さんも一緒に蘇さん宅の赤い円卓を囲んだのは言うまでもありません^^)
雨のそぼ降る村道を山の手方面に行き、蘇さんの畑に着いてみると、おばさまたちが雨の中、私たち用の茶葉を摘んでくださっているではないですか!いてもたってもいられなくなり、雨除けに茶摘み用の竹製の笠をかぶって、畑へ飛び出します。土手を下るのももどかしく、おばさまたちににじり寄って摘み方を教えてもらいます。
見本の一芯二葉から外れないようにひとつひとつ注意深く摘んでいきながら、彼女たちの両手を駆使した高速技に目を奪われてしまいます。判断と動作とが紙の裏表のように一分の隙もない、よどみなく続いていく熟練の手技です。いくらも摘めないうちに時間となりましたが、貴重な体験でした。転がるように下りた土手は、帰りは茶師が軽々片手の一本釣りで引き上げてくれました。この腕力が美味しいお茶づくりと幸せな一家を支えているのだなあと感じ入った瞬間です^^
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製茶開始
戻ると、前半組と同じように雨に濡れた茶葉を室内で温風萎凋します。ガス火によってファンを回し、温かい風を茶葉プールに送り込みながら攪拌します。手で感触を確かめながら、これだけの量を均等に萎凋させるのは大変な作業です。今回もやはり几帳面な弟茶師の分担。この真剣な表情をみてください。
そしてお待ちかねのお昼ごはん。兄茶師奥様のお料理(これがまた同じものが出てこないんですよね~)とずらりと並んだご飯茶碗が壮観、赤い円卓のキャパシティには感動します。写真右奥の鶏は蘇さん宅で飼われていたものを振舞ってくださいました。さり気なく、お皿には鶏のおかしらやもみじの姿も。大丈夫ですか?小姐のみなさん・・でも美味しいですよね。
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温風萎凋の終わった茶葉を食堂に運ぶと、兄茶師のほうから「今回は人数が多いから、3班に分けて競い合いにしよう!」と提案が。ほほう。なんだか盛り上がります。慣れた手つきでいそいそとグループ分けのくじを作成する兄茶師。このときから密かに「レクリエーション部長」とお呼びしています。くじ引きの結果、わたしは師匠、Uさんとチーム結成。配分された茶葉をザルに広げ、ラックに並べて室内萎凋開始!ザルにはしっかりと班ごとの番号が書き込まれました。
ちょっとお散歩♪
長丁場に突入したところで、恒例のお散歩へ。茶樹の種類の説明を受けたりしながら、川べりまで歩いていきます。手折った茶葉を髪に飾ったりする光景は、乙女班ならではですね。後ほど一大イベントの舞台になるとは知らず、まったりと清流を眺めるわたしたちでした。
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やっぱり難しい?
さあ、ほぼ2時間おきにやってくる攪拌作業につきものの難技といえば、ザル振りです。一面に広がった茶葉をほっと揺すって瞬時に中央に寄せるあの技、これがやはりどうにも難しい。しかし乙女軍団はただでは引き下がりませんの。作業の合間にくず茶葉を拝借して、不屈の百本ノックです。トレーニング後の、床の有様の描写は控えさせていただきますね・・。
夕方になると雨が止み、前半組でお茶をご馳走になった近所の茶農さん宅ではおばちゃんたちが包種茶の製茶作業をしています。テーブルの下に前掛けで受け皿をつくり、大きな茎やムラのある茶葉を取り除いていきます。覗き込むわたしたちにもお手伝いをさせてくださいましたが、これは非常に根気のいる作業。ここでもおいしいお茶のいただけるありがたみを再認識することになりました。
今夜もご馳走!
そうこうするうちにお待ちかねの晩ごはん。今夜もご馳走!
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茶葉の天麩羅&フリッターは風味最高、これでもかと具だくさんの海老薬膳スープ、目にも鮮やかマーボー長茄子、牡蠣のトウチ炒め・・・ああ、口福。
それにしても今宵はわれわれ乙女軍団に師匠、蘇さん一家もほぼ勢揃い、くだんの凄いお姐さん(後ほどの八面六臂の活躍に乞うご期待・・)もモチロンやって来たうえに、茶商の方たちの出入りや、地元の独身農業青年も加わり、とびきり賑やかです。(えー、昼間師匠がこちらを指差し、おばあちゃんに「この娘は坪林に嫁いでもいいんで~^^」発言しはりまして・・は!?・・そんでもっておばあちゃんもホントに電話して呼んじゃうんですから、ホントにもう!!お茶目なふたりなのでしたよ。汗)
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今夜もお酒はもちろん出ていて、パパ茶師と兄茶師が嬉しそうに勧めてくれます。相手が乙女であることを考慮してか、あんまり無理はいいません。いちおう口当たりのマイルドな蜂酒にしてくれます(って58度だけどネ)。
どうにか浅酒の域でお茶テーブルに移動すると、パパ茶師が「宝物」をふるまってくれました。20代、結婚当時につくった包種茶を定期的に火入れしながら大事に大事に熟成させてきた陳年茶です。ジブンに味わう資格はあるのか!?なんて思うのはやめにして、茶師の穏やかな笑顔とともにありがたくいただきました。50年近い歳月を経ているとは思えない、澄んだ濃い杏色の水色、芳しい香り。蘇さん一家の質実で温かい幸せがたちこめているようなこの団欒に、お茶の味にほどける時空が溶け合い、格別な感覚を味わいました。
乙女タイム
パパ茶体験から帰還すると、さらなるレクリエーションタイムの始まりです。総勢1ダースの女子総出でお菓子を作ろうという企画です。メニューは「餡子入り包種茶餅」。陣頭指揮をとるのはあのスゴイお姐さんです。兄茶師の奥様と「あ・うん」の呼吸で繰り広げられるその手際は実に鮮やかの一言!
大きなザルに白玉粉か上新粉のような粉を大量に投入、手のひらで一斉にダマを潰してから包種茶パウダーを投入。均一に混ざったところでサラダ油を加え、渾身の力でこねてまとめ、さらに芋虫状に成形します。額にかかる乱れ髪も凛々しい青チョッキの方がスゴイお姐さんです。
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中華鍋にザラメと水を熱して飴液をつくり、何段階かに分けて芋虫状の生地を入れていき(この形は飴液とのなじみ易さを考慮したものだったのですね)、かき混ぜてドロドロにします。
火からおろし、このドロドロをまた渾身の力で搗きまくるのですが、生地の重さに皆汗だく。兄茶師はじめ男性陣も加勢してくれました。
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艶のある見事な餅が搗き上がると、熱いうちに手でちぎり、丸く伸ばして用意しておいた餡子玉を包んで出来上がりです。(できたてを夢中で頬ばっていて、肝心の完成写真がない・・!スミマセン。包種茶の風味が堪らない一品でした^^)
夜も更けてなお…
夜も徐々に更けるころ、通訳のSさんとなんと前半組でお邪魔した台北縣農会文山茶推廣中心の李盛主任が素敵なスウィーツのお土産とともにご到着。乙女ごころを心得たナイスな紳士たちと小姐軍団の吸引力に乾杯♪・・ではなくて、お仕事の後にわざわざ訪ねてきてくださるなんて嬉しいかぎりです。
その後、さらなるアウトドア・イベントが!なんと、知らない間に弟茶師が川に刺し網を仕掛けてくれてあるというのです。そういえば昼間、さり気なくお召し変えしていたっけ・・。通訳のSさんがわたし達に車に乗るように言います。暗い夜道とはいえ、川までいくらもないんだから歩いてもいいのにと、ぎゅうぎゅう詰めの車内でつい思ったのですが、これにも意味があってのことでした。
・・真っ暗な夜の川に飄々とビーサン履きで入っていく弟茶師をSさんが車のヘッドライトで照らしてサポート。長身の体が見る見る胸まで浸かり、向こう岸まで辿り着いたかと思うと、川幅いっぱいに張られた刺し網をゆっくり慎重に回収していきます。あっけにとられつつ岸で見守るわたしたち。かっこいいです弟茶師!(本人に全く自覚なさそうなのがまたね)惚れちゃうぞ!(妻子持ちだってば!)無事、網とともに陸に上がった水も滴る茶師に拍手喝采。袋をもってスタンバイのSさんも、ナイス・サポートでした。
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お家に戻ると、網を物干し台に引っ掛けて、そこかしこに掛かっているお魚を外します。ここでもスゴイお姐さんがすっと現れて慣れた手つきで作業。お姐さん、あなたもそうとうにかっこいいですぜ。お魚はすかさずマコモダケと一緒に生姜風味のスープにされてテーブルに。きれいな白身は臭みもなく、清流で育ったことが実感されるお味でした。
ちなみに、いつも飄々と静かにいい仕事を遂行する弟茶師は小さなレディ=愛娘さんに首っ丈!そりゃもう無理もないですね。めっちゃ可愛いんだもん。(写真はまるで坪林の聖家族ですが、女性は奥様ではなくて日本から参加のUさんです。)
そして、一仕事終えてナイフを研いでいるスゴイお姐さん。すでにお孫さんがいるなんてやっぱりスゴイ。弟子にしてください。
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長~い一日終了?
嗚呼、今日もなんて濃い~一日・・実に実に・・。一息ついたところで、こんな夜更けに、フトコロからとっておきの東方美人茶を取り出す通訳S氏も只者ではないみたい。お土産の美味しいチョコレートとコーディネートして「贅沢するです^^」ってアナタもそうとうステキなお方ですことね!東方美人、すっかり酔わせていただきました。
最後の攪拌作業を終えて、いよいよ長い一日も終わり。
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と思いきやところがドッコイ、ではまた明日と階段を登るわたしを「イシイサーン!」と呼び止めるのは文山茶推廣中心の李盛主任。は、はい、なんでしょうか~。。「オチャ、イレテクダサイ。サア、ドウゾ、オネガイシマス!」い、いま何時です!?勘弁してくださいましなぁ~。試験(?)はもうちょっとコンディションのいいときにして~(笑)。結局逃げ切れずに淹れましたとも・・。次回お会いするときまで、もっともっと美味しく淹れられるように精進いたしますですよ。ウッス!!今度こそおやすみなさーーい・・・
坪林パワーで一気に殺青~揉捻~乾燥
夜更かししたのに、なぜかまだ暗いうちに起きてしまえる坪林パワー。お茶の声なき声に呼ばれるせいでしょうか。1階の茶の間の長椅子で夜を明かした師匠によると、茶師は皆が仮眠をとっている間にも、茶葉の様子を見にきていたそうです。
明け方降っていた雨も上がりました。7時に殺青機のスイッチをオン。今回は兄茶師が担当、1班から順に殺青が始まりました。感覚を研ぎ澄ませた茶師の顔。眼が違います。
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殺青・揉捻・乾燥と、一気呵成・秒単位の気の抜けない工程が3班分続きますが、パパ茶師の加勢も得て、万全の態勢です。
揉捻ほやほやの温かい茶葉の香りをチェック、手早く乾燥機に敷き詰めます。
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この乾燥が終わったところで最初のテイスティング。同じ条件からスタートした茶葉が3班3様の萎凋を経て、どんな個性を発揮しつつあるのでしょうか。まだ新生児の段階、可能性が混沌として目鼻立ちがはっきりしない感じですが、その香りの中に紛れもない包種茶魂を感じさせる赤子たちです。
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さらに箱型の乾燥機に入れたところで(所要約2時間)朝ご飯をいただき、街道沿いの蘇さんのお店へ出掛けました。お茶の試飲をいただきながら、飾られている茶摘みの写真に見入ってしまいます。茶の花蜂蜜や茶油、茶葉を使ったお菓子なども購入しました。
帰ると出来上がった毛茶の計量と袋詰作業です。昨晩大活躍のあと、茶葉当番を兄茶師に引継ぎ、真っ赤になるまでお酒を飲んでいた弟茶師もすっかり元通り。一緒に作業してくれました。
台所では、奥様とおばあちゃんが最後の食事の用意をしてくださいました。それにしても野菜の美味しいこと!帰国してもきっと、またすぐに食べたくなってしまうことでしょう。毎食本当に美味しいお料理をごちそうさまでした。
なお3班の競い合いの結果は、覆面試飲&全員の投票により厳正に発表されました。かなりの接戦、票は割れましたが途中まであまり評価の高くなかった2班が逆転勝利。おめでとうございます。茶師よりお茶の賞品もいただきました。ちなみに後で分かったことですが、同じ班でタッグを組んでいたUさんとわたしは全く同じ判定をし、自分たちのお茶をトップ評価していました。それはそれで非常に納得(笑)なのでした。
初めて訪ねた坪林郷。豊かな緑、水と空気の清らかさに、暮らす皆さんの温かさ(&逞しい生活力^^)。心を捉えて離さない包種茶の魅力が生み出される秘密にちょっぴり触れたような気がしました。その後、蘇さん宅周辺にワタシの生霊が出ていやしないか、それだけが心配です。
終始温かく遇してくださった蘇さん一家と台湾のみなさん、M師匠、お世話になった参加者のみなさん、それからこの長い日記を読んでくださったみなさんにあらためてお礼を申し上げます。ありがとうございました。次回の製茶実習は是非ご一緒したいですね♪
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